最新作公開!コミックで読む『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』



遠い昔、はるか彼方の銀河系で…

20171215日、スター・ウォーズシリーズ8作目となる『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』がついに公開となりました。

物語は前作『フォースの覚醒』のラストシーンの直後から始まり、かつて銀河を救った英雄にしてジェダイ最後の1人である「ルーク・スカイウォーカー」に、前作で内なるフォースを覚醒させた惑星ジャク―出身の少女「レイ」がライトセーバーを手渡すシーンから幕を開けます。



というわけで皆さん改めましてこんにちは。とうとう公開になりましたね『最後のジェダイ』皆さんはもうご覧になられましたでしょうか。

既にSNS等を通して多くの観賞報告が聞こえてきていますが、SATDANも公開日当日の深夜、レイトショーで観てまいりました。

※こっから最新作の感想が始まりますが、ネタバレはありませんのでご安心ください。少々長いのでどうでもいい人はスクロール推奨です。


感想は言うまでもありません。

最高!大大大大大傑作!


間違いありません!素晴らしい作品でした!


いや、もう何というか、まさか1年の終わりにこんな作品と出会うことになるなんて思ってもみなかったんですよね。正直な話スター・ウォーズに対する思いというのは熱烈なファンの方々と比べればそこまで大きいものではなく、あくまで「シリーズで見続けていてる作品の続編が出たから観に行こう」ぐらいのものだったのですが、ここまで衝撃を受けるとは完全に想定外でした。

これまでのシリーズ作品で形成されてきたスター・ウォーズという作品に対する既成概念のようなものを本作は全てぶち壊しています。2時間半の上映時間はまさに予想外の連続。今日に至るまでファンの中で予想されてきた様々な展開全てを清々しいまでに否定しながら物語は進んでいきます。そのストーリーは極めて現代的で、レイにもカイロ・レンにも、そしてルークにも、どのキャラクターにも共感できるものだったように思えます。

そのようなこれまでのスター・ウォーズをぶち壊す展開の連続でありながら、それでいてスター・ウォーズの教えてくれる本質的なメッセージはこれまで以上に強く描かれていたように感じられました。今から丁度40年前に始まった、言ってしまえば大昔の映画シリーズの続編を単なる焼き直しにするのではなく、現代的で今の時代だからこそ作れるような今までとは違う全く新しいものを作り上げる。今作はエピソード7の続編というだけでなく、これからの時代の全く新しいスター・ウォーズの幕開けを感じさせてくれる、素晴らしい続編だったと言えると思います。

これだけでも十分に素晴らしいのですが、個人的にはストーリーや雰囲気だけでなく、映像そのものの美しさが非常に印象的でした。特に光の感じが絶妙で、芸術的なシーンが随所に見られました。スノーク最高指導者を守るエリート・プレトリアン・ガード無駄を省いた洗練されたスタイリッシュなデザインも好きですね。視覚的な面でも十分に楽しめる作品だったと思います。

というわけで、最新作に大満足した僕ですが、これが賛否両論であることも十分に頷けます。これまでのスター・ウォーズとはあまりにも違いすぎますし、「ちょっとこれはどうなの?」というシーンもあったことも事実です。熱狂的なファンの方々にとっては受け入れがたい作品であるのかもしれません。公式が「衝撃のスター・ウォーズ」と謳っているのはそうした意味もあるのでしょう。気になる次回作、「エピソード9」は再来年公開ですが、来年にはスピンオフ作品『ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー』の公開が控えています。今後スター・ウォーズがどのような展開を迎えていくのか、これからも目が離せません。


そんなわけで、今回の記事は以上…


じゃないですよ!!むしろこっからが本題なんです!
スクロールした皆さんもお待たせしました!こっからですよ!


正直自分でも上手い具合に落とせたと思いましたけども!こっからなんですよ本題は!
というわけで今回ご紹介したいのは、最新作『最後のジェダイ』の前作『フォースの覚醒』を完全コミカライズした作品



最新作の公開に合わせて刊行された本作は、『フォースの覚醒』を忠実にコミカライズした作品になります。

出版しているのはスパイダーマンやアイアンマンでお馴染みのマーベルコミックス。スター・ウォーズのコミックシリーズは元々マーベルコミックスによって出版されていましたが、1991年以降ダークホースコミックスに出版権が移り、しばらくはマーベルの手を離れていました。しかし2012年にマーベルの親会社であるウォルト・ディズニー・カンパニーによるルーカスフィルムの買収に伴いコミックの出版権もディズニーの手中に収まることになり、2015年より再びマーベルコミックスの下で出版されることとなりました。

現時点で既に多くのコミックシリーズが連載されており、日本でも幾つかの作品が邦訳されています。こうしたシリーズは映画では描かれなかった物語を補完する内容となっていたり、コミックオリジナルのキャラクターも登場したりと、コミックならではの特徴を活かした魅力溢れるシリーズとなっています。


そんなファンにはたまらないコミックシリーズですが、本作フォースの覚醒はどんな作品かと言えばそうした要素はほとんどありません。コミックオリジナルのキャラクターも出てきませんし、映画では明かされることのなかった秘密が明らかになるわけでもありません。(強いて言うなら劇中では名前が出てこなかったキャラクターの名前が分かるぐらいです)フォースの覚醒の冒頭からエンドロール直前のシーンまで、とにかく映画に忠実に、台詞もそのままにコミカライズしています。話の展開に特に捻りがあるわけでもありません。ただただ映画と同じように進んでいきます。また、ストーリーだけでなくアートもキャラクターやガジェット、風景やちょっとしたアイテムに至るまで、できる限り映画に忠実になるように描かれています。

もしあなたが既に映画を観ているのなら、何か新しい発見をすることは恐らくないでしょう。


しかしこれこそが本作の最大の魅力なのです。とにかく映画に忠実であること、それが重要なのです。




1つ作品を他媒体で表現することのメリットとは何でしょうか。映画をコミカライズすることもその1つです。既存の作品を違った媒体にすること、それはその作品の魅力をこれまでとは違った側面から見てみることなのではないかと僕は思います。これは決してコミカライズだけの話ではありません。ベストセラー小説を映画にする、名作映画を舞台化する、大人気コミックを小説化する。どれにでも共通して言えることです。既に1つの媒体として完成している作品をあえて違う媒体で表現してみる。そうすることによって内容が同じなのに、それに触れる媒体が変わるだけで、作品に対する印象や感想がガラッと変わる。そしてそれまでは気付かなかった新たな発見があったり、作品の魅力が際立ったりするのです。

1つの作品を多角的な視点から表現することで、それまでとは違った魅力が生まれる。
それが他媒体で表現することによるメリットであり、意義であるのではないでしょうか。


ではその中でコミカライズによってもたらされるものとは何か?アメコミに関して言えば、細分化された分業制の下で作られる(そうでない場合も勿論あります)コミックは、いわば文学のプロと絵画のプロによって作り出されるものです。そこにあるのは決して絵の付いた小説まがいのものでも、文の付いた絵画まがいのものでもありません。文学と絵画、2つの芸術が組み合わさることによって生み出されるコミックは、文学と絵画のどちらをも越えたであると僕は考えています。それは文章だけでは表現できないものを絵で代替的に表現できる、あるいは絵だけでは表現できないものを文章で表現できるという点だけに留まりません。文章と絵が組み合わさることによって初めて表現できるもの、コミックでしか表現できないものがあるのです。

僕はこれまでアメコミを読んでいて、そうした作品やページにいくつも出会ってきました。例えば同じ構図のコマを繰り返すことによって時間の連続性を表すという技法がありますが、あれを文章だけで表現することはまず不可能ですし、絶対に映像化できないと思います。そして何より1つのページで幾つかの場面を描いたり、様々な情報を盛り込んだとしても、それを視覚的に表現できる点がとても大きい特徴であると思うのです。

コミカライズ最大の利点は、そうしたコミック独自の表現方法を用いることによって、どんなに難解な作品や上映時間が長い作品であったとしても、ページを捲ることで手軽にかつ視覚的にも分かりやすく体験できるテーブルに置かれた1冊の本にまとめることができることだと僕は思います。もちろん中には難解で読むのに苦労したり、ページに情報を盛り込み過ぎている作品もありますが、それでもコミックブックになるということによって得られる「手軽さ」は何よりも代え難いものであると思います。


そのコミカライズの利点が、本作では存分に活かされています。映画『フォースの覚醒』の上映時間は2時間15分。普段忙しい人でなくても、決して観やすいとは言えない長さです。しかしこのコミックであればどうでしょうか。僕が読んでみた限り、映画を知らない人であったとしても、1時間もあれば十分に読み切ることができる長さです。値段も2000円以下とアメコミにしては手頃。そして何よりこれはコミックですから、たとえどこにいようと、ネット環境が整っていない場所であったとしても、ページを捲ることではるか銀河系の彼方へ旅立つことができます。この「手軽さ」は明らかに映画を上回っていますし、映画以上に誰でも楽しめる作品になったと言えるでしょう。
そして何より、この作品はとにかく映画に忠実なのです。ストーリーもキャラクターデザインも、全て映画に合わせています。余計な変更や修正もありません。スクリーンで映画を観た人と同じ情報量を手元のコミックで味わえるのです。ただただ映画に忠実であること。何の捻りもないこと。それは映画を観た我々からしてみれば退屈に思えるかもしれません。しかし、コミカライズするという点において、これほど重要なことは無いのです。


今回最新作を観てからこの作品を読みましたが、最新作を観る上で必要な前作の知識はこの作品に十分網羅されています。スター・ウォーズを知っている人でも、そうでない人でも、これほど手軽に『フォースの覚醒』を体験できる媒体は他にないと思います。最新作が公開されている今、気軽にその世界を味わってみてはいかがでしょうか。


というわけで今回は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のレビューをお届け致しました。

フォースと共にあらんことを…



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