≪感想・レビュー≫ ルパン三世 東方見聞録~アナザーページ~ 

※この記事は旧サイトに投稿していたものです。

どうも。SATDANです。

 さて、皆さんルパン三世はお好きですか?

僕は金曜ロードショーのテレビスペシャルで始めて出会い、その後テレビシリーズのお馴染みの1st、2ndを始め、さまざまな作品を見てきました。

 勿論去年10月からのテレビシリーズも視聴しています。個人的に最近のテレビシリーズのような如何にも子供向けの作品とは違い、大人な雰囲気がしっかり含まれつつ、コミカルな要素も忘れない、制作スタッフの方々の本気度がひしひしと伝わってきます。

 そんな中、日本テレビの映画天国で『ルパン三世 東方見聞録~アナザーページ~』を再放送していたので見てみました。

以前見た時はルパン三世らしい言えばルパン三世らしかったのですが、なんとも言えないもどかしさが残り、個人的に評価は低かったのですが、今回改めて一通り見た感想をまとめたいと思います。


※ストーリーに関してはネタバレありなのでご注意ください。

 まず今作で特徴的なのは作画です。

キャラクターデザインを担当された須藤昌明さんは名探偵コナンなどで知られていますが、「燃えよ斬鉄剣」などの作品でもルパンに関わっています。ネットの声を見てみると、「コナンみたいな作画が嫌い」という意見がちらほら見られますが、僕はそうは思いません。こちらをご覧ください。


左は今回の東方見聞録。右は1stシリーズです。ご覧頂ければ分かるように、東方見聞録は1stシリーズをかなり意識していることがわかります。「燃えよ斬鉄剣」等でも言えることですが、須藤さんのキャラデザはこのように1stシリーズを意識したものになっているのです。そう考えてみると、今作のキャラデザはとても完成度が高いと言えます。

続いてストーリーです。

見ていない方のために軽くご紹介すると、かのマルコ・ポーロの東方見聞録にはマルコの隠し遺産について記された失われた1ページ(アナザーページ)があり、その1ページを手に入れたルパン三世がそこに書かれた暗号を解き、遺産を手に入れるために世界をまたにかけるというものです。

物語の中でルパンはアナザーページの研究をしていたアルジェント教授を殺したという濡れ衣を着せられ、暗号のカギを握る彼の孫リサ・アルジェントはルパンを恨むようになります。これに対しルパンは無実を釈明することはせず、ICPOの人間と偽って彼女とクライマックスまで行動を共にすることになります。

 今作のテーマは温故知新。古きを訪ねて新しきを知ることにあります。

リサがルパン達との冒険の中でそれに気付き、成長する様子が物語全体を通して描かれていると言えるでしょう。ルパンはいわばリサの教育者の役割を担うわけです。そう見れば確かにルパンは大人の男でしょう。

しかし僕は本当のルパンはもっとぶっきらぼうだと思うのです。自分から教えることはせず、相手に自発的に見つけさせようとするのがルパンだと思うのです。ルパンはあくまでハードボイルドな悪人なのであって、善人ではないのです。やはり今作も最近のルパンに見られる“優しすぎる”ルパンなのでした。

 その他はいつも通りです。しっかりお馴染みの「ルパン三世愛のテーマ」や「銭形マーチ」も流れますし、五右衛門の色恋沙汰もあります。

 さらに今回、僕が感心したシーンがあります。それは物語終盤、ルパンが「以前はロボットの宣伝に使われた」的な事を言い、そのとき背景に言わずと知れた「天空の城ラピュタ」のロボットが映るシーンです。

ルパン三世ファンの方ならもうお分かりでしょうが、これは宮崎駿さんが担当した2ndシリーズの155話「さらば愛しきルパンよ」において、後にラピュタに登場するロボットが「ラムダ」という兵器として映画より先に登場し、このエピソードの中でラムダの性能を世界に知らしめるために開発者たちがルパンを利用したことを指しており、ファンならニヤリと出来る小ネタなのです。

いまやコアなファンよりもルパン三世をテレビスペシャルでしか見たことのない子供達が増えている時代において、このような演出をしてくれるのはとても素晴らしいと思います。ファンを大事にするコンテンツなんだなと改めて思いました。

 さて、色々書いてきましたが、改めて今作をまとめてみると、
「1st,2ndシリーズへのリスペクトを込めた作品ではあるが、内容としてはルパン三世らしくない作品」
と言えるでしょう。

確かに演出は素晴らしかったのですが、優しすぎるのルパン三世はやっぱり物足りません。今作のような旧作へのリスペクトを忘れず、男の美学を見せてくれるルパン三世を今後とも期待していきたいと思います。


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